藤田一照さん(1954-)は、東京大学教育学部大学院教育心理学専攻終了後、曹洞宗の厳しい修行道場である兵庫県美方郡安泰寺(註1)の渡部耕法師に就いて出家。福岡市明光僧堂似て修行。後に国際布教使に就任。マサチューセッツ州バレー禅堂で禅の指導を行う。現在曹洞宗国際センター所長(以上、Wikipediaより)。
NHK「明日も晴れ・人生レシピ(写経)2020・1・10再放送」で、写経の題材としてよく使われている色即是空の意味として、
・・・仏教の教えの基本は縁起です。つまり、あらゆるものは縁によって成立している。すなわち相互に関係し合っており、常に変化している。それゆえ執着すべき不変のものなどない。何かに執着するから悩みや苦しみが生じる・・・。
とおっしゃっていました。
筆者のコメント:前回お話した、新井満さんの解釈と同じですね。つまり、従来のほとんどの人の解釈と同じです。おそらくいつの時代かの誰かによる解釈が伝わってきたのでしょう。まちがっているのですが・・・。
そのあとアナウンサーが「では空即是色とはどういう意味でしょうか」と質問すると、
・・・色とは簡単に言いますと、人間の肉体ということです。たしかに肉体という実体はありますが、いくらその人が若さを持続したいと考えても諸行無常で、老いは免れないのです・・・・まあ、細かいことは・・・と答えていました。
筆者のコメント:要するに藤田さんにもわからないのでしょう。色即是空・空即是色は、単なる語呂合わせの対句などであるはずがなく、重要な意味を持つのです。それにしても国際センター所長は、曹洞宗組織でも枢要な地位だと思いますが・・・。筆者の解釈については、筆者の前著「正・続 禅を正しく・わかりやすく」をお読みください。
「禅はわかったかわからないかの世界である」とはこのことだと思います。
註1よく知られた澤部興道、内山興正師も住職の経験がある著名な禅の修行道場です。修行僧自らが田畑を耕し、米や野菜を作るとういう完全な自給自足生活をしています。現在の住職はドイツ出身のネルケ無方師。
追記:「明日も晴れ・人生レシピ」でも紹介されていたように、今、日本の著名なIT産業でも社員の課外活動として写経が行われています。米国のGoogle社でも禅師を招いた講演会が行われていると聞きました。両社とも現代の最先端技術産業ですから驚きですね。いや、最先端技術産業だからこそ、従業員の心にやすらぎと潤いが必要なのでしょう。よくわかります。それにしても、以前お話した山川宗玄師(臨済宗)や、この藤田一照師(曹洞宗)の米国でも活動からわかるように、欧米で禅を知りたいという人が増えていることには驚かされます。それぞれの禅堂がかの地に作られているのです。
サマディチャン様
私は「空とは縁起のこと」とは考えていません。すでにこのブログで何度もお話しました。藤田さんは曹洞宗に所属され、本格的で正しい瞑想修行を重ねていらっしゃると思います。
「色即是空」と「空即是色」は単なる語呂合わせの対句ではなく重要な意味をもつという塾長のご指摘には感嘆致しました。私は、往相と還相、平等と差別、正と偏というように思っています。
観ると見るも的を得ていると思います。
アイドルトーク2様
この問題について、次々回のブログにも書きますので、しばらくお待ちください。なお、ご意見はすべて保存し、次回以降のブログの参考にさせていただきます。