山下宗玄師「無門関」(6)

第二十二則 迦葉刹竿(かしょうせっかん)

 原文:

 迦葉、因(ちな)みに阿難 問うて云わく「世尊、金襴の袈裟の外、別に何物をか添う」。迦葉、喚んで云わく「阿難!」。阿難応諾す。迦葉云わく「門前の刹竿、倒却せよ」。

 現代語訳:阿難(アーナンダ)が迦葉(カショウ)に質問した。「世尊は金襴の袈裟の外に、何か貴方にお伝えなさりましたか。迦葉はその場で、「阿難!」と呼んだ。阿難は「はい」と答えた。迦葉は「では門前の旗(今日説法があるという知らせ)を下ろしてくれ」と言った(つまり「説法は終わった」)。

 山川師の解釈:・・・・名前を呼ばれて「ハイ」とすぐ答えられる人は何人いますか。名前を呼ばれれば皆さん「ハイ」と答える。でも本当に純粋な「ハイ」が言える人、そういう相手が何人いますか。香林和尚は師の雲門禅師から「隠寺(秘書)さん」と呼ばれて「ハイ」。「これ何ぞ」と聞かれるのを18年間続けた。18年目に初めて本当の「ハイ」が言えた・・・・

 筆者の感想:違うのです。ここでも山川師は、話が次から次へと飛びます。わかりやすくするためでしょうが、じつはすべて本題から離れたエピソードで、かえって話が混乱するばかりでしょう。この公案の正しい意味はやはり第七則、第十五則、第十七則と同じ「自分に気付け」と言っているのです。

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