ハワイには自然という言葉がない

 NHK「ハワイの暮らし・優しい時間」シリーズはとても良い番組でした。ブラッドリー・クーパーさんとミライニ・美子・クーパーさんご夫妻の生活です(お二人とも60歳くらいか)。今、オアフ島コオラオ山脈の麓で30匹の猫と暮らしています。

 美子さんは横浜出身。ハワイに憧れ、28歳の時ハイ大学・ハワイ学科に入り、ハワイの言語や文化を学ぶ。とくにフラという、自然への敬意が詰まった伝統文化をもっと知りたいと修行を重ね、ハワイ文化の伝道師であるクムと認められた。そしてさらに「美しい子」という意味のミライニという名を与えられた。

 一方のブラッドリーさんはシカゴ出身。やはりハワイを愛しハワイに移住してきた。「ハワイに来て2日後、コオラオ山の頂上で閃いた。「新しい住みかを見つけた」。そしてハワイの文化を研究し、ずっと中学校の社会科教師をしてきた人です。そして同じくクムの称号を取得しました。フラを敬愛する二人が出会い心惹かれ合うのにそんなに時間はかからなかったでしょう。「フラを通して出会い、フラを通して生きてきた良いチームです」。フラの伝統を継承し、ハワイに生きる夫婦の物語です。

 クーパーさん夫妻はハワイ土着の人々とははもちろん、ベトナムや韓国、カンボジアなど多くの国から移住してきた人たちとフラや、ハワイ伝統の食べ物を楽しんでいます。ゆったりとしたハワイの生活が心地よいからだと言います。美子さんの一日は瞑想から始まります。「フラを踊るとき頭や首にかけるレイには大きな意味がある。シダはフラの神ラカという女神の化身。フラを踊るとき、神の力を借り、讃える」。クーパーさんは言います「よく『人間と自然との一体化』と言うが、ハワイには自然という概念はない。ハワイに暮らす人たちは初めから自然と一体化して生きているからだ」・・・・。良い言葉ですね。

 筆者は以前、ハワイの有名なフラチームの公演を見たことがあります。チームの一人、ミスフラの踊りを見ていて「アッ」と思いました。彼女の踊りつにつれて、周りの空間も揺れていたからです。フラは自然そのものの表現だったからでしょう。

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