死後の世界はあります(4)東日本大震災後の霊的現象(2)
「神の存在も霊的世界も今一つ信じられない」と言う人がたくさんいます。というより、神が実在されることを信じるか信じないかの分かれ目が、まず霊的世界の存在を認めるかどうかだと、筆者の経験から想像できます。前回、東日本大震災のあとで体験された霊的現象についてお話しました。今回お話しする二つのケースは、東北学院大学生の工藤優花さんが卒業論文として、タクシー運転手たちに聞き書きしたものです(「呼び覚まされる霊性の震災学」新曜社 註1)。
ケース1)東日本大震災から3カ月ほどたった、ある深夜の出来事だった。タクシー運転手の男性がJR石巻駅の近くで客を待っていると、もう初夏だというのに、真冬のようなふかふかのコートを着た30代くらいの女性が乗車した。目的地を聞くと「南浜まで」と一言。震災の津波で、壊滅的な被害を受けた地区だった。運転手は不審に思って「あそこはもうほとんど更地ですけど構いませんか?」と聞いた。すると女性は震える声で答えた。「私は死んだのですか?」。運転手が慌てて後部座席を確認すると、そこには誰も座っていなかった。
筆者のコメント:戦争や事故などで突然死んだ人は、自分が死んだという自覚がないことを、筆者が神道系の教団で霊感修行をしていた時、時々聞きました。
ケース2)「巡回してたら、真冬の格好の女の子を見つけてね」。13年の8月くらいの深夜、タクシー回送中に手を挙げている人を発見し、タクシーを歩道につけると、小さな小学生くらいの女の子が季節外れのコート、帽子、マフラー、ブーツなどを着て立っていた。時間も深夜だったので、とても不審に思い、「お嬢さん、お母さんとお父さんは?」と尋ねると「ひとりぼっちなの」と女の子は返答をしてきたとのこと。迷子なのだと思い、家まで送ってあげようと家の場所を尋ねると、答えてきたのでその付近まで乗せていくと、「おじちゃんありがとう」と言ってタクシーを降りたと持ったら、その瞬間に姿を消した。確かに会話をし、女の子が降りるときも手を取ってあげて触れたのに、突如消えるようにスーっと姿を消した。
東日本大震災に関わるこの種の話には「夢に現れた」というケースが多く(註1)、実証するすべがないのですが、工藤さんが調べた体験談は別です。なにより運転手さんたちはちゃんと仕事をしている時でしたし、なにより乗車記録として残っているのです。もちろん料金は支払われませんでしたが。
前にもお話しましたように、筆者は一時期、何度も霊に憑依された経験があります。何よりの証拠は、あの時の独特の不快感です。有名な霊的カウンセラーの江原啓之さんは「霊媒体質についてどう思いますか」との問いに、「そんなものない方がいいに決まっています」と答えていました。筆者も同感です。筆者は憑りつかれた霊の除霊法も習いました。あるときなど、大学での試験監督中に憑依され、あからさまに除霊操作をすることも出来ず、閉口したことがあります。とにかくそいう体質になると、憑霊は次からつぎなのです。幸い今はそういうことはありません。
註1 関連書には「魂でもいいからそばにいて」奥野修司(新潮社)もありますが、夢の話が多いのは残念です。