無門関第二十二則「迦葉刹竿」

本則

迦葉 (かしょう)、因(ちな)みに阿難 (あなん)問うて云わく、「世尊、金襴の袈裟の外、別に何物をか添う」。迦葉、喚んで云わく、「阿難!」。阿難応諾す。迦葉云わく「門前の刹竿、倒却せよ」。

筆者訳:

阿難(アーナンダ 註1)が迦葉(カショウ 註2)に質問した。「世尊は金襴の袈裟(註3)の外に、何か貴方にお伝えなさりましたか。迦葉はその場で、「阿難!」と呼んだ。 阿難は「はい」と答えた。迦葉は「では門前の旗(今日説法があるという知らせ)を下ろしてくれ」と言った(つまり「説法は終わった」)。

註1 ブッダの従兄弟と言われています。この迦葉とのやり取りで第3代として認められました。

註2 やはり仏陀の従兄弟。ブッタの法を伝える人と認められた人。「拈華微笑」のエピソードが有名ですね。阿難より20歳年上。

註3 「袈裟を譲る」とは、法の後継者としての認可。

 山川宗玄師の解説:・・・名前を呼ばれて「ハイ」とすぐ答えられる人は何人いますか。名前を呼ばれれば皆さん「ハイ」と答える。でも本当に純粋な「ハイ」が言える人、そういう相手が何人いますか。香林和尚は師の雲門禅師から「隠寺(秘書)さん」と呼ばれて「ハイ」、「これ何ぞ」と聞かれるのを18年間続けた。18年目に初めて本当の「ハイ」が言えた(「無門関の教え」淡交社)

「Frankの悟り」ブログameblo.jp/satori2015/entry-12060118636.htmlより:・・・刹竿(せっかん)とは、説法中だと伝える旗です。迦葉は阿難が「はい」と答えたら即に門前の旗を下げてくれと言います。説法は終わったと言う事です。どうしでしょうか。これは、世尊の則の所で花を上げたお釈迦様から迦葉に以心伝心的に伝わった事のお返しとして、阿難に引き継げようとしています・・・ これは先の「無門関」六則、世尊拈花(世尊、花を拈ず)の思えば、分かりやすいと思います。

・・・釈尊の花が上がります。それは貴方に「この一瞬の一」を悟って欲しい大慈悲として上げられます。その時、迦葉はにっこり笑い以心伝心を受け継ぎます。この則では、先の「無門関」十六則の鐘声と同じく、声(音)で達成します。迦葉が「阿難!」と言った後と、阿難が「はい」と言う「は」の直前との「間」の「瞬間」です。また「はいと言った音調で迦葉には分かります。

筆者のコメント:お二人とも間違っています。これでは何が伝えられたのか、肝心なところがわかりません。つくづく「禅はわかったか、わからないか」の世界だと思います。もう少々疲れました。この公案の意味は、以前のブログでお話した「無門関 第十七則 国師三喚」をお読みください。

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