禅は世界で注目(1)

禅の世界的関心(1)

 禅が世界各国で関心を集めることは知っていました。しかし、先日のNHK「金とく 禅・心安らぐ神秘の世界(2017/12/15)」で、禅道場が世界500か所にも増大していることを聞いたのは驚きでした。永平寺などには毎年各国からたくさんの人たちが参禅体験に集まり、専門の禅僧になる人も多いと言う。パリには禅グッズ専門店もあり、あるしゃれたビルの地下には一回当たり700円で坐禅ができる施設もあり、「もう4年も毎週2-3回来ている」と言う修行者が紹介されていました。イタリアのミラノ市の近くには、永平寺で修行して認可を受けた外国人禅僧が主宰する寺もあるという。

 番組では、ゲストに永平寺国際部部長として15年間も活動している横山泰賢師と、脳科学者の養老孟司さんや、お笑い芸人のパックン(ハーバード大・比較宗教学専攻。永平寺で20回参禅経験あり)などが参加して.、いろいろな方面から話が進められました。

 筆者は、外国人たちが禅のどんなところに惹かれているのかに大きな関心を持ってこの番組を見ました。

 1)2017年には、ヨーロッパに禅を伝えて50年に当たり、その記念式典がフランスで開催されました。記念行事主催者の国際禅協会のオリビエ・クンゲン会長は、「いまわれわれヨーロッパ社会は寛容な禅の知恵を必要としています。坐禅・瞑想によって心を静めることで、これまでの価値観や人生観に大きな影響を与えてくれると信じています」と述べている。
 式典では「他者に寛容な禅の心について」のシンポジュウムも行われ、招待された前述の横山泰賢師は「いま国際社会に緊張が高まっている。この混沌とした時代、歴史的な宗教間の確執によるテロが頻繁に起こっている。ヨーロッパの禅の信者や僧侶が大きなコミュニテイーになれば、できることは極めて大きいはず」と基調講演を行いました。

2)アメリカ各地にも禅道場があり、その一つで参禅を続けているある医療機器メーカーエンジニアは、「私たちはともすれば新しいものを生み出し続けなければならないという強迫観念にとらわれている。坐禅・瞑想はそのストレスから自分を解放するのにとてもいい」と言い、大手IT企業エンジニアは、「禅は成果にこだわり過ぎるなと教えてくれる。禅を学び、坐禅・瞑想を続けていると仮に特別な業績がでなくても自信を無くさずに済む」と言っています。

3)パリの禅道場で週に4回坐禅・瞑想をしている人(60代?女性)は、「禅は宗教と言うより人生哲学や世界観だと考えて興味を持った。いまでは禅なしの人生は考えられない。
これら3つの例が、いま禅に日本人より強い関心をもっている欧米人たちの禅への期待でしょう。

 最後に「禅は不寛容社会を変えられるか」のテーマについて、前述の永平寺国際部長の横山師が、道元の言葉を引用して(横山師の現代語訳)、
・・・人間は今日ここに至るまでにさまざまなものを抱えている。民族のレベルで言うと数百年、何千年も抱えているものもある。それらを全部手放して、それがいいとか悪いとかの分別を越えて、心を休めてだまって座れば、心穏やかに生きていけるのではないか・・・とまとめています。

筆者のコメント:以上、禅に対する欧米人の期待はよくわかりました。ただし、筆者の考える禅の意義からすると、重要な点が忘れられています。あくまで「NHKがまとめた」でしょう。

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