不登校・引きこもりには坐禅・瞑想を

         中野禅塾だより (2015/12/6)

 不登校・引きこもりには坐禅・瞑想を

 不登校児童を持つ両親の悩みは深刻で、鬱になった母親を何人も知っています。引きこもりは子供ばかりではなく、ニートの大人も沢山いますね。それが何年にもわたり、親が心配のあまり逆に強く叱って刃傷沙汰になったケースも報道でよく見聞きします。

 坐禅・瞑想はこのような場合とても良い治療法なのです。筆者も大学で登校拒否の学生のカウンセリングを何度も経験しました。しかし、これらの人を癒すのはほとんど不可能でした。考えてみれば当然です。初めから心を閉ざしているのですから、こちらの話に耳を貸さないのです。

 この問題に関して、香川県高松市の野田大燈禅師の報四恩精舎四恩の里の活動をご紹介します。そこでは、不登校や、家庭の崩壊などで家族と一緒に暮らせない子供たち、ニートなど社会に適応できない人たちが坐禅・瞑想を基本にして、嬉しいこと楽しいことを生み出す自分を作り上げて行くための訓練をしています。野田師は29歳のとき、サラリーマンだった人生に疑問を持ち、禅の修行生活に入り、ゼロからスタートしたのです。

 訓練の基本は、今お話した坐禅・瞑想、規則正しい生活(これらの人たちの中には夜昼逆転の生活をしていた人も多い)、5000平米にも広がるハーブ園での農作業や清掃、四国巡礼の途中や、精舎の中にあるハーブ喫茶を訪れる人たちと接すること、食事の前後に唱える「四恩(父母、社会、ふるさと、大自然)への感謝の言葉」などの実践を通じて、自分を取り戻し、自立して行く手助けをしています。さらに、社会に復帰した後の自活のために陶芸なども指導。野田師の活動は、以前お話した、テイクナットハン師がフランス郊外に開いた「李(すもも)の里」での実践に共通し、禅を生活に生かす一つの大きな道でしょう。

 筆者も坐禅・瞑想を高ぶった心を鎮め、自分を取り戻すめるための有効な修行と考えています。前著「禅を正しく・わかりやすく」でもお話しましたように、筆者は6年前大変苦しい状況に陥った時、禅を本格的に学び直しました。一日3回、それぞれ40分の坐禅・瞑想、かなり長時間のウオーキングを実践して切り抜けた経験があるからです。坐禅・瞑想は何よりもまず心を落ち着かせ、自分を取り戻すのに有効です。

 野田師も言っているように、これらの修行をするにはまず発心(やろうという決心)が必要です。引きこもりの人たちも「何とかしなければいけない」と思っているのですから、ほんの少し心を開けばきっかけがつかめるのです。このように坐禅・瞑想は、大人なら発心し、良い指導者さえ見つければ誰でも実践できます。できれば集団生活をするのが望ましいのですが、何人かの人と一緒に修行すれば十分可能です。
 

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